ためるのは、使うため
──使いすぎた時期も、ためるだけの時期も経験して思うこと
公開
「使う・楽しむ」では、趣味や楽しみから時間をつくるための買い物まで、私が使った金額と安く楽しむためにしてきた工夫をお伝えします。
読んでくださった方がお金を気持ちよく使うきっかけになればうれしいです。
その1本目となるこの記事では、使うこととためることのバランスをどう考えているかをまとめます。
📖 この記事で伝えたいこと
- ・使い道と必要な額を先に考えると、振り回されにくいこと
- ・楽しむのに使って良い額と、将来のためにためる額の目安
- ・ため込みすぎや、不安からの保険のかけすぎの落とし穴
- ・あとに何が残るかで考える、後悔しにくい使い方と物の買い方
いまの考えにたどり着くまで
私はお金を使いすぎた時期も、ためることを優先しすぎた時期も経て、今の考えにたどり着きました。
4つの時期に分けて、順にふり返ります。
働きだしたころ|漠然と貯金して、たまに使っていた
将来のことは何も考えず、漠然と少しずつ貯金して働いていれば退職金も含めて60歳で定年し、老後を楽しく過ごせると楽観していました。
忙しくて遊ぶ日は少なくても、遊ぶときはそれなりに使えていました。
使いすぎていたころ|遊びと保険にお金が出ていき、貯金が止まった
仕事がつらい時期も重なって遊びにお金を使いすぎましたが、そこでの出会いや経験には満足しています。
一方で、将来がそんなに甘くなさそうだと気づき、漠然とした不安だけで貯蓄型の保険も厚くかけだして貯金ができなくなりました。
その保険は、見直すと必要のない内容にかけすぎていたとわかり、後悔しています。
ためることに集中したころ|今度は時間が気になった
老後にかかるお金が少し見えてきて、仕事をやめた後に楽に暮らす方法を調べるうちに、目標額を決めずにできるだけお金を増やそうとしていました。
そのため貯金と投資へお金を回しすぎて遊ぶ事が減り、体力や大切な人との時間が気になりはじめました。
あとで見直すと、そこまでためる必要はなかったとわかり、もっと経験に使えばよかったと思っています。
今|人生を充実させるために使いたい
将来必要な金額を把握し、目標をどう達成するか、今の余力はどの程度かを考えられるようになりました。
老後や家族のお金への不安が消えたわけではありませんが、大切な人との時間や楽しいことにもっと使いたいと思っています。
使い道と必要な額が分かると、振り回されない
今に至るまでの3つの時期は、将来いくら必要なのかも、自分は何を優先したいのか・何に満足や充実を感じるのかも分かっていませんでした。
そのため、楽観や不安に左右されて、使いすぎたりためすぎたりしていました。
使い道は、大きく立派なものでなくてかまいません。
始めたい趣味や家族・友人との時間など、自分が大切にしたいことを書き出してみると、「このために使いたい」と思える使い道が見えてくるはずです。
それがあると、ためたお金を大切なことに迷わず使えるようになります。
必要な額は、「先取り貯蓄は、手取りの2割くらいで十分」の章でお話しします。
楽しむのに使って良い額の考え方
使いすぎる時期と、ためるだけの時期。
どちらかに振れすぎないために、使う前にお金を分けておく方法があります。
-
① 日々の生活に必要なお金を確保する
税金や返済、年に数回ある出費も含めて考えます。
-
② 残したいお金を先に取り分ける(先取り貯蓄)
将来いくら必要かをもとに決める、将来や急な出費のためのお金です。
近いうちに使うお金は預金に置き、当分使わないお金は投資に回すことも考えます。 -
③ 残った分を、楽しむためのお金にする
月の初めに、①②といっしょに分けておきます。
ここでいう「楽しむお金」は、「余ったら使って良いお金」ではありません。
先に使うことを決めたお金です。
この金額の中なら、使ったあとに自分を責める必要はありません。
楽しむお金が足りないと感じるときは、まず①②に必要以上のお金を回していないかを見直します。
①②がこれ以上削ると今の生活や将来に困る額なら、そこに手をつけて楽しむと、あとで後悔する可能性が高いです。
だから楽しむお金は、①②をしっかりよけて残った分の中で、楽しみ方を工夫します。
先取り貯蓄は、手取りの2割くらいで十分
必要な額がまだ分からないうちは、先取り貯蓄は手取りの2割くらいあれば十分かなと思っています。
特に若いうちは、1割でも良いと思います。
無理しすぎない程度に将来にそなえておくと、今後の余裕につながります。
反対に、無理をしてためすぎると、今しか楽しめないことにお金を使えなくなってしまいます。
🌱 給与が安いうちの0.5〜1割を、最初の5〜10年続けると
| ためる額 | 5年 | 10年 | 10年 (年3%で運用) |
|---|---|---|---|
| 月約1.6万円 (手取りの1割) | 96万円 | 192万円 | 約223万円 |
| 月約8,000円 (手取りの0.5割) | 48万円 | 96万円 | 約112万円 |
※ 手取りは、令和8年度の最低賃金の全国平均(時給1,177円)で月168時間働いた場合の約15.8万円(額面の約8割)です。
運用の結果は年によって変わり、元本を割り込むこともあります。
給与が安いうちの5〜10年でも、預金でためるだけでここまで届きます。
10年でたまる96万〜192万円は、手取りの約6か月〜1年分です。
これだけの生活防衛資金があるだけでも、急な出費や収入が減ったときの安心は大きく変わります。
👉 備える月数の決め方は、こちらでまとめています。
生活防衛資金って何?──収入が止まっても、暮らしを続けるためのお金の話
そのうえで、ためる額のうち3分の1くらいは、投資に回してみるのも良いと思います。
少ない額のうちに始めておくと、投資でお金がどんなふうに増えたり減ったりするのかを、実際に知ることができます。
とはいえ、ためる額が月約8,000〜1.6万円のまま何十年もたつと、全額を年3%で運用したとしても老後には心もとない金額です。
📉 全額を年3%で運用し続けると
| ためる額 | 30年 | 35年 |
|---|---|---|
| 月約1.6万円 (手取りの1割) | 約926万円 | 約1,177万円 |
| 月約8,000円 (手取りの0.5割) | 約463万円 | 約588万円 |
昇給のたびにためる額を少しずつ増やし、目標額をためられるか確かめると良いと思います。
生活費をあまり上げずにいられれば、ためられる額は自然と増えていきます。
📈 5〜10年で月3万円まで増やせると
| ため方 | 30年 (年3%で運用) | 35年 (年3%で運用) |
|---|---|---|
| 6年目から月3万円 (最初の5年は月1.6万円) | 約1,547万円 | 約1,987万円 |
| 11年目から月3万円 (最初の10年は月1.6万円) | 約1,384万円 | 約1,798万円 |
※ どちらも、最初の5〜10年にためた分も含めて全額を年3%で運用できた場合です。
預金だけなら、30年で約912万〜996万円、35年で約1,092万〜1,176万円です。
目安としてよく聞く「老後2,000万円」は、2019年の金融庁の審議会の報告書から広まった金額です。
総務省の家計調査(2025年平均)で計算すると、年金などの収入では足りない分は30年で夫婦約1,500万円・ひとり暮らし約1,080万円になります。
ためる額を5年で月3万円にして全額投資すれば、35年で「老後2,000万円」に届く可能性が高いです。
しかも年3%は控えめに見た数字で、実際にはもっと増える可能性もあります。
※ 公的年金を運用するGPIFの実績は、25年間で年率4.67%でした。
過去の平均であり、これからも同じように増えるとはかぎりません。
👉 年3%で増えていくしくみは、こちらでまとめています。
複利ってなに?──積立の増え方が変わる時期と、計算のしかた
👉 足りない分の計算とためたお金の使い方は、こちらでまとめています。
貯めたお金は、どう使う?──資産の取り崩し、定額と定率のふたつ
ため込みすぎ・かけすぎの落とし穴
「いつか」のためにと楽しみを先送りしても、その「いつか」は来ないかもしれません。
体力が落ちてできなくなることも、一緒に楽しみたい相手がいなくなってしまうこともあります。
そう考えると、「今」しかできないことは、お金より大切なときもあると思います。
ここで伝えたいのは、老後のそなえを削ろうという話ではありません。
私自身、老後や家族のためのお金への不安は今もあり、そなえることは大切だと思っています。
そのうえで、「使う時期」も合わせて考えたい、という話です。
不安から必要以上にお金を回してしまうことは、保険でも起こります。
私も漠然とした不安で貯蓄型の保険に入りましたが、見直すと必要のない内容にかけすぎていました。
しかも貯蓄型の保険は一般的に投資信託ほど増えず、その分を投資すればよかったと後悔しました。
その経験から、保険は入る前に次のことを考えて、入るものを選ぶことが大切だと思っています。
🔍 保険に入る前に考えたいこと
- ・なぜ、何に、いくら必要なのか
- ・それは本当に必要なのか
- ・貯金など、ほかの手段でそなえられないか
- ・公的保険でまかなえないか
こうして選べば、むだを防げて、あとで後悔もしにくいと思います。
👉 保障の考え方は、こちらでまとめています。
保険、入りすぎてない?──「もしも」に、いくら備えるかの決め方
あとに何が残るかで考える、後悔しにくい使い方
前にお話ししましたが、遊びにお金を使いすぎた時期の出会いや経験には、今も満足しています。
一方で、いらなかった保険には何も残らず、後悔しています。
ふり返ってみると、使ってよかったと思えるのは、次のようなお金の使い方です。
🎁 使ってよかったと思うこと
- ・新たな人と出会えた
- ・楽しかった思い出を作れた
- ・新たな経験や体験ができた
- ・遊び道具を買って、かえって安く遊べた
- ・時短ツールを買って、自分の時間を増やせた
どれも、使ったあとに出会いや思い出、経験や時間が残っています。
一時的に使いすぎだったとしても、使ったお金以上の価値を自分が感じられたり、長い目で見てそれ以上のお金が返ってきたりするなら後悔しにくいと思います。
後悔しにくい物の買い方は、1回あたりの費用とつくれる時間で考える
買うときの値段だけを見ると、高く感じる物があります。
でも、使う回数まで含めると見え方が変わります。
🛠️ 道具に10万円使ったとき
使い終わるまで(壊れる・捨てる・使用期限が切れる・使うのをやめる)に
- ・20回使えれば、1回5,000円
- ・1回しか使わなければ、1回10万円
そのうえで、買うときの値段のほかにかかるお金と手間も合わせて考えます。
🧾 買う前にくらべたいこと
- ・レンタルなら1回いくらか。1回あたりの費用はそれより安くなるか
- ・置いておく場所に、お金や手間がかからないか
- ・手入れや修理に、いくらかかるか
- ・その手間は、安くなった分に見合うか
1回あたりの費用で考えるのは、高い物を買う理由にするためではありません。
本当にそれだけの回数を使うのかを、買う前に確かめるためです。
もう1つ大切なのが、その物で自分の時間をつくれるかどうかです。
前にお話しした時短ツールのように、家事などにかかる時間が減って自分の時間が増えるなら、その時間も買った物の価値になると思います。
浮いた時間を、大切な人と過ごすことに使えるのも大きな良さです。
まとめ:ためることと使うことを、同じ目的につなげる
📝 いま、私が大切にしていること
- ・将来いくら必要かと使い道を、先に考える
- ・生活費と先取り貯蓄を先に分ければ、残りは気にせず楽しめる
- ・そなえは削らず、使う時期と金額も合わせて考える
使うこととためることは、どちらか一方を選ぶものではないと思います。
必要な分をためて老後や家族のお金への不安を減らせれば、安心して今の人生を充実させることにお金を使えると思います。
まずは、自分が大切にしたいことを書き出してみてください。
🧮 毎月の先取り貯蓄が、将来いくらになるかは、複利・積立シミュレーターで試せます。
あわせて使いたいツール
よくある質問
Q. 使い道を決めても、途中で気が変わったらどうすればいいですか?
A. 気が変わってもかまいません。
使い道は約束ではなく、目印です。
ときどき見直せば十分です。
Q. 楽しむお金を先に決めたら、急な出費のときに困りませんか?
A. 生活費と先取り貯蓄を先に分けているので、楽しむお金に手をつけずにすむことが多くなります。
急な出費は、②の先取り貯蓄から出せるようにしておくと安心です。
Q. 何回使うかは、買う前には分かりません。それでも1回あたりで考える意味はありますか?
A. 計算は正解を出す道具ではなく、買う前に気持ちと予定を確かめるための道具です。
迷う物ほど、使う場面を書き出してみてください。
借りたり試したりしてから決められるかどうかも、同じように確かめられます。
免責事項
本ツールの計算結果は、入力された条件に基づく概算のシミュレーションであり、将来の運用成果や税額を保証するものではありません。投資には価格変動リスクがあり、元本を割り込む可能性があります。実際の投資・税務の判断は、金融機関や税理士等の専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。当サイトは特定の金融商品の推奨や投資助言を行うものではありません。また、当サイトにはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。詳しくは免責事項をご覧ください。