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生活防衛資金って何?

──収入が止まっても、暮らしを続けるためのお金の話

公開

金貨を積んで作ったかまくらの中で、コブタの貯金箱が買い物かごと一緒ににっこり立っているイラスト
ためトン

「生活防衛資金」って言葉、聞いたことあるかな?

貯金とは違うの? 名前がかたくて、よく分からなくて

ききニャン
ためトン

収入が止まっても、暮らしを続けるためのお金なんだ。いっしょに見ていこう

もしも急に、収入が止まったら——。
考えたくはない話ですが、暮らしのほうは止まってくれません。家賃や食費は、来月もかかります。
そのときのために取り分けておくお金が、生活防衛資金です。

目安は生活費の3か月分から1年分ですが、必要な額は人によって違います
1か月の生活費は、家族構成や暮らし方で変わります。
自分で用意する金額は、会社員か自営業かで違います。

📖 この記事でわかること

  • ・生活防衛資金は、何のためのお金?
  • ・自分にはいくら必要?
  • ・どこに置いて、どう貯める?

暮らしを止めないためのお金

生活防衛資金とは、収入が止まっても、しばらく暮らしを続けられるようにしておくお金のことです。
病気やけがで働けなくなったとき。勤め先を辞めることになったとき。
そういう場面で、家賃や食費を払うために使います。

新しく貯め始めるお金、というわけではありません。
いまある貯金の中で「これは何があっても手をつけない」と決めた分が、生活防衛資金になります。

💰 貯金は3つに分けて考える

① 毎月の生活費

今月使うお金。
ふだんの口座に置いておく分。

② 生活防衛資金

収入が止まったときのお金。
この記事の主役。

③ その先のお金

当面の暮らしに使う予定のない分。
投資を考えるのはここから。

①が分かれば②が決まり、②が決まれば③がいくらあるのかも分かります。
だからまず、1か月の生活費を計算するところから始めます。

まず、1か月の生活費を計算する

生活防衛資金の金額は、「1か月の生活費 × 備える月数」で決まります。
合計するのは、家賃や食費など、最低限の暮らしに必要なものだけです。
旅行や外食など、それ以外のものはこの計算から除きます。

合計するもの 合計しなくて良いもの
家賃・住宅ローン 旅行・レジャー
食費 外食・飲み会
水道・光熱費 趣味・習いごと
通信費(スマホ・ネット) 洋服・美容
保険料 お中元・お歳暮などの交際費
交通費・車の維持費 家電の買い替え
医療費・薬代
子どもの学費・保育料

※ 右の列は、1か月の生活費に入れないだけで、ふだんの暮らしでは使って良いお金です。
家電の買い替えや車検のように、いつかはかかるものは、生活防衛資金とは別に用意しておきましょう。

1か月の生活費は、通帳やアプリの明細で確かめます。
上の表の左側にある項目(家賃・食費・光熱費など)の、1か月あたりの平均を出します。
1年分の平均がいちばん正確ですが、記録がなければ直近の3か月分の平均でも大丈夫です。
出てきた金額は、1円単位まで合わせる必要はありません。
迷ったときは1万円単位で切り上げておけば、いざというときに困りにくくなります。

💡 1か月の生活費が分からないという方へ

総務省の家計調査によると、2025年のひと月の支出は、ひとり暮らしで173,042円、二人以上の世帯で314,001円でした。
ここから、いざとなれば減らせる旅行や外食などを差し引き、人によって差が大きい家賃も別にします。
こうして残る「家賃をのぞいた1か月の生活費」が、ひとり暮らしで約11万円、二人以上の世帯で約21万円です。
金額が分からないうちは、これに自分の家賃を足して、仮の金額として置いてみてください。

※ 出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」。二人以上の世帯の平均人数は2.87人です。

備える月数はどれくらい?

次に決めるのは、いま出した1か月の生活費を何か月分ためておくかです。
よく使われているのが、「金融広報中央委員会」が出している目安です。

委員会のサイト「知るぽると」で、失業や休職に備えるお金を説明しています。
生活費の3か月から1年分を貯めることを最優先に、と書かれています。
幅が広いのは、必要な額が人によって違うからです。

※ 出典:知るぽると「資金繰りは使う時期に合わせて短期・中期・長期で考える」(金融広報中央委員会)

収入が止まってから暮らしを立て直すまでの期間は、会社員でも自営業でも変わりません。
当サイトではどちらも半年から1年をみておきます。
人によって違うのは、その期間の生活費のうち自分の貯金で用意する金額のほうです。

分かれ目になるのは、収入が止まったときに受け取れる給付があるかどうかです。
会社員が受け取れて、自営業には原則ないのが次の2つです。

※ 出典:協会けんぽ「傷病手当金」ハローワーク「基本手当について」都道府県労働局「給付制限期間が短縮又は解除されます」。給付制限の1か月は、2025年4月1日以降に辞めた場合です。

収入が止まったあとの数か月のあいだ、会社員にはこの2つの給付が入ります。
ただし給料の全額ではありません。
自分の都合で辞めたときは、始まるまでに1か月以上かかります。
そこを埋めるのが、生活費の3か月から6か月分です。

自営業の方にはこの2つの給付が原則ありません。
半年から1年の生活費はすべて自分の貯金で用意することになります。

会社員・公務員 自営業・フリーランス
立て直す期間 半年〜1年 半年〜1年
この2つの給付 ある 原則ない
備える月数 3〜6か月分 6〜12か月分

🛟 大きな医療費がかかっても大丈夫

医療費がひと月に100万円かかっても、窓口で払う額には1か月の上限があります。
上限は年収によって変わり、100万円かかった月なら約3.7万円から約27万円です。
幅があっていくら備えたら良いかわかりにくいですよね?
自分の年収ではいくらが上限なのかは、「医療費が100万円かかったら?」の記事で紹介していますので、確認してみてくださいね。

※ 1年間の上限もあります(69歳以下で29万〜168万円)。金額は厚生労働省の資料(2026年8月〜・69歳以下)より。

🐷 ためトンのひとこと

ためトン

ここまでで、1か月の生活費と備える月数がそろったね。この2つで、自分の生活防衛資金の金額が決まるんだ

生活防衛資金だけで足りるのはなぜ?

ここまでで、いくら貯めればいいかが見えてきました。
でも、本当にその金額だけで足りるのでしょうか。結論からいうと、基本的には足ります。
このお金でつなぐのは、次の収入や公的な支えが始まるまでだからです。
もとの仕事に戻れば収入は再開し、次の仕事が決まれば新しい収入が入ります。
収入が戻らないときは、長く続く公的な支えが始まります。

その支えとして、次の2つがあります。
さきほどの傷病手当金や失業給付は、受け取れる期間が決まっています。
この2つは、そのあとを何年も支えるものです。

🛟 長く収入がないときを支える仕組み

  • ・働けない状態が長引いたとき → 障害年金
    受け取れるのは、初診日から1年6か月たった日からです。
    傷病手当金が終わるころに始まる形になります。
    ただし実際に振り込まれるのは、請求してから4か月から5か月ほどあとになります。
    → くわしくは「働けなくなったら、お金はどうなる?
  • ・働き手が亡くなったとき → 遺族年金
    残された家族が、亡くなった月の翌月分から受け取れます。
    ただし実際に振り込まれるのは、請求してから2か月から4か月ほどあとになります。
    → くわしくは「働き手が亡くなったら、遺族年金はいくら?

※ 障害認定日(初診日から1年6か月を過ぎた日)は日本年金機構「障害認定日」より。1年6か月以内に症状が固定した場合は、その日になります。振り込みまでの期間は同機構「障害年金ガイド」「遺族年金ガイド」(いずれも令和8年度版)より。

この2つは、傷病手当金や失業給付が終わったあとを引きつぎます。
自営業の方も国民年金から受け取れるので、会社員だけの仕組みではありません。

ただし、引きつぐまでには待つ期間と手続きの時間があります。
引きつぐまでの生活費と、その間の給付だけでは足りない分。
この2つを合わせたのが、生活防衛資金として必要な金額です。

生活防衛資金はすぐ引き出せる口座に

生活防衛資金は、預金や現金で持っておく必要があるお金です。
必要になった日に、減らずにすぐ使えなければ困るからです。

株式や投資信託は値下がりすることがあり、必要になった日の値段で売ることになります。
用意したはずの金額より少なくなることがあるので、生活防衛資金には向きません

預金の金利は、銀行や預金の種類によって差があります。
100万円を1年置いたときの利息の差は、多くの場合で数千円です。
その差より、必要な日に引き出せることのほうが大事だと考えてください。

同じ口座にあると残高が多く見えるので、つい使ってしまうという方もいます。
心当たりがあれば、ふだん使う口座と分けておくのがおすすめです。
銀行を分けても、同じ銀行の別の口座でも構いません。目に入りにくくなれば十分です。

🐷 ためトンのひとこと

ためトン

つい使ってしまうなら、口座を分けるといいんだ。ふだんはないお金として考えようね

いまの貯金で足りないときは

いまある貯金が必要な金額に届いていれば、その分を生活防衛資金として取り分けておけばOKです。
届いていなければ、毎月そこへ積み上げていきます。
続けられるかどうかは、いつ取り分けるかで変わります。

  1. ① 給料日に先に取り分ける

    月末に余ったお金から取り分けるやり方だと、たいてい残りません。
    給料日の翌日に自動で取り分ける設定にしておくと、あとは何もしなくても貯まっていきます。

  2. ② 必要な金額に届くまで続ける

    毎月の分だけでは、届くまでに何年もかかることがあります。
    ボーナスや臨時の収入があった月に多めに取り分けると、その分だけ早く届きます。

毎月取り分ける金額が作れない、というときは、先に支出のほうを見てみましょう。
「投資したいけど、お金がない…」──はじめの「種銭」をつくる3ステップで、削りどころを順番に見ています。

まとめ:収入が止まってから、支えが始まるまでのお金

📝 覚えておきたいこと

  • ・生活防衛資金のもとにする生活費は、毎月かならず出ていくお金だけ
  • ・何か月分を生活防衛資金にするかは、会社員か自営業かで違う
  • ・生活防衛資金は、すぐ引き出せる口座に置く

生活防衛資金は、何かあったときに暮らしを今までどおり続けるためのお金です。
暮らしが変わらなければ、次の一手をあせらずに決められます。

まずは、1か月の生活費を計算してみてください。
金額が見えたら、いまある貯金から取り分けます。
足りなければ、次の給料日から積み上げていきましょう。

🧱 「この貯金ができたら、次は?」という方へ。
投資、始めて大丈夫?(3つの土台と自己チェック)でお話ししています。

小道を一歩ずつ歩いて進んでいくコブタの貯金箱のイラスト

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よくある質問

Q. ボーナスや児童手当も、生活防衛資金に含めていいですか?

A. 含めていいのは、すでに手元にある分だけです。
これから入る予定のボーナスは、まだ手元にないお金なので含めないでおきましょう。
会社の業績や働き方によっては、金額が変わることがあるからです。
すでに受け取って貯金になっている分なら、出どころは問いません。
大切なのは、いざというときにすぐ引き出せる形で置いてあるかどうかです。

Q. 生活防衛資金が貯まりきる前に、投資を始めてはいけませんか?

A. 先に用意したいのは、生活防衛資金のほうです。
まだない状態で投資に回すと、いざというときに値下がりしている最中でも売ることになります。
そうなると、用意したはずの金額に足りません。
毎月先に取り分ける習慣ができていれば、投資に進んだときも同じやり方で積み立てられます。
あせらずにいきましょう。

Q. 生活防衛資金を使ってしまいました。どうすればいいですか?

A. ここまで大変だったと思います。まずはひと息つきましょう。
もしものときに使うためのお金なので、使ったこと自体は問題ありません。
暮らしが落ち着いたら、いまの自分にいくら必要かをもう一度確かめます。
必要なら、毎月の積み立てで戻していきましょう。
戻すペースは急がなくて構いません。暮らしを立て直すほうが先です。
なお、家電の買い替えや車検のような出費は、生活防衛資金から出すお金ではありません。
その分に使ってしまったときは、早めに戻しておきましょう。

Q. 共働きの場合も同じだけ必要ですか?

A. 共働きで収入が2つある家庭は、片方が働けなくなっても、もう片方の収入が残ります。
収入が同時にゼロになりにくいぶん、目安の下のほう(会社員なら3か月分)から考える余地があります。
いっぽう、収入の大部分を片方が担っている場合は、その方が働けなくなったときの影響が大きいため、厚めに持っておくと安心です。
世帯の人数よりも、収入が止まったときにいくら残るかで考えてみてください。

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