信託報酬ってなに?
──毎日少しずつ引かれている、投資の手数料
公開
ためトン 投資信託の手数料、何%か気にしたことはあるかな?
0.1%とか1.5%とか…? そんな小さい数字、気にしなくてよくない?
ききニャン
ためトン その小さな数字が、あとで大きな差になるんだ。いっしょに見ていこう
投資信託には、「信託報酬」という手数料がかかります。
0.1%や1.5%といった小さな数字なので、たいした違いには見えません。
しかし、たいしたことないと侮るなかれ。
この手数料は、持っている間ずっと引かれ続けます。
毎月3万円を30年積み立てると、0.1%と1.5%では500万円以上の差になってしまいます。
📖 この記事でわかること
- ・信託報酬は、いつ、どうやって引かれているのか
- ・小さな%の差が、何年かけてどれだけになるのか
- ・いま出ている商品は、だいたい何%なのか
- ・信託報酬のほかにかかるお金は、どこで分かるのか
📌 この記事が前提にしているもの
全世界株式やS&P500のように、市場全体にまとめて投資するタイプの投資信託を長く積み立てる方に向けた話です。
中身がほぼ同じ商品が何本もあるので、手数料の差がそのまま結果の差になります。
NISAでもそれ以外の口座でも、かかり方は同じです。
個別株の売買には当てはまりません。
どの商品を買うべきかの助言はしていません。
信託報酬とは、持っている間ずっとかかる手数料
投資信託は、たくさんの人からお金を集めて、まとめて株などに投資するしくみです。
集めたお金を運用する会社があり、記録を管理する会社があり、窓口になる金融機関があります。
その手間に対して払うのが、信託報酬です。
預けている金額に対して年何%という形で決まっています。
🔍 投資信託でかかるお金は、3つの場面に分かれます
① 買うとき(購入時手数料)
買った金額の何%かを払います。
いまは0円の商品も多く、つみたて投資枠の商品は0円と決められています。
② 持っている間(信託報酬)
毎年かかり続けます。
この記事の主役はここです。
③ 売るとき(信託財産留保額)
売った金額から引かれることがあります。
こちらも0円の商品が多くなっています。
①と③は、かかっても一度だけです。
②だけが、持っている年数のぶん重なっていきます。
だから、長く積み立てるつもりの人が見ておきたいのは②です。
では、いつ払っているのか
信託報酬は、明細のどこにも出てきません。
振込も引き落としもないので、払っている感覚がまったくないのがふつうです。
でも、たしかに払っています。
どこから引かれているのでしょうか。
引かれているのは、投資信託に入れたお金の中からです。
毎日少しずつ引かれ、残ったお金が次の日も運用されていきます。
発表される値段(基準価額)は、すでに引いたあとの数字です。
だから、引かれたことは表に出てきません。
💸 100万円ぶん持っていると、1年でいくら引かれるか
年0.34%の商品 = 1年で3,400円(1日あたり約9円)
年0.75%の商品 = 1年で7,500円(1日あたり約21円)
年1.50%の商品 = 1年で15,000円(1日あたり約41円)
※ 当サイトで計算した一例です。実際は投資信託に入れたお金に対して毎日かかるため、そのお金がふえれば手数料もふえます。
1%の差が、30年でいくらになるのか
では、実際にどれくらいの差になるのでしょうか。
毎月3万円を積み立て、運用の成績が年5%だったとして計算してみます。
0.5%は、つみたて投資枠の商品に決められている上限のひとつです(税抜)。
1.5%は、手数料が高めの商品の例です。
毎月3万円・想定リターン年5%のとき
| 積立年数 | 元本 | 手数料 年0.50%なら | 手数料 年1.50%なら |
|---|---|---|---|
| 10年 | 360万円 | 453.6万円 | 430.3万円 |
| 20年 | 720万円 | 1,164.4万円 | 1,040.6万円 |
| 30年 | 1,080万円 | 2,278.2万円 | 1,906.2万円 |
※ 当サイトで計算した一例です。年5%という成績が毎年そのまま続いた場合の計算で、実際の運用成績はこのとおりに動くとはかぎりません。税金は考えていません。
30年たったところで、差は372万円に開いてしまいました。
元本は同じ1,080万円で、投資したものの成績も同じ年5%。
違うのは、手数料の差である1%だけにもかかわらずです。
手数料1%の差でつく、金額の差
※ 上の表の差を、棒の長さにしたものです。年数が2倍3倍になるより、差の開き方のほうが急です。
なぜ、ここまで開くのでしょうか。
それは、お金が増えるときと同じように、手数料にも複利がかかるからです。
自分の積立額と年数で試すなら、手数料比較シミュレーターで確かめられます。
毎月の積立額と、2つの信託報酬を入れると、差額が出ます。
🐷 ためトンのひとこと
ためトン じわじわ開いていく差って、目で見るとちょっとこわいくらいだね
いまの商品は、だいたい何%なのか
1.5%という数字を出しましたが、高いから良い商品、というわけではありません。
中身がほぼ同じ商品どうしでは、手数料が高いほど不利になるだけです。
NISAには「つみたて投資枠」という枠があり、そこで買える商品は国が選んだものに限られています。
市場全体のものさしを「指数」といいます。
全世界株式やS&P500のように、指数に合わせて動くタイプが指定インデックス投信です。
選ばれた商品には、法律で信託報酬の上限が決められています。
つみたて投資枠の指定インデックス投信の信託報酬(税抜)
| 投資先 | 法律の上限 | 実際の平均 |
|---|---|---|
| 日本だけ | 年0.5% | 年0.27% |
| 海外を含む | 年0.75% | 年0.34% |
※ 金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」(2026年7月24日時点・対象360本)より。上限・平均とも税抜です。個々の商品は目論見書で確かめてください。
この上限があるので、極端に割高な商品はここでふるい落とされています。
ただ、海外を含むもので上限0.75%に対して、平均は0.34%。
上限すれすれの商品を選ぶと、平均的な商品の2倍以上を払うことになります。
上限以下だから安心、とは言えません。
画面に出ている信託報酬は、税込で書かれていることも、税抜で書かれていることもあります。
商品どうしを比べるときは、どちらの表示かをそろえて見てください。
ほかにかかるお金はある?
じつは、持っている間にかかるのは信託報酬だけではありません。
決算のたびの監査費用や、中の株を売り買いしたときの手数料です。
これらは、信託報酬の%には入っていません。
🧮 かかるお金の組み立て
信託報酬 + 監査の費用など = 総経費率
- ・信託報酬
年何%と決まっていて、買う前に目論見書で分かります。 - ・監査の費用など
その期に何をしたかで変わるので、買う前には決まっていません。 - ・総経費率
2024年から、目論見書に参考情報として載るようになりました。
※ 株の売買手数料などは、総経費率にも入っていません。実際にかかった合計は、決算のあとに届く運用報告書の「1万口当たりの費用明細」で分かります。総経費率は2024年からの制度で、それ以降に届け出た商品から順に載っていきます(資産運用業協会の規則によります)。
ここまで考えると、大変ですよね。
でも、金額でいちばん重いのは、やはり信託報酬です。
それ以外の費用は多くても年0.02%ほどで、商品による差もほとんどありません。
つまり、信託報酬だけで選んで大丈夫です。
総経費率は、どうしても気になる方が見れば十分です。
※ 代表的なインデックス投資信託4本の交付目論見書(2026年7月時点)に載っている「その他費用の比率」は、年0.003%〜0.02%でした。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)0.01315%、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)0.00292%、楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド0.02%、ニッセイ外国株式インデックスファンド0.01%(いずれも各ファンドの直近の対象期間)。
🐷 ためトンのひとこと
ためトン こまかい話までよくがんばったね。ここはふんわり分かっていれば十分だよ
手数料を見るのは、投資先を決めたあと
ここまで読むと、いちばん安いものを選べばよさそうに見えます。
ただ、手数料はあとから見る項目です。
先に決めることがあります。
選ぶ順番
どこに投資するかを決める
全世界の株式に投資する商品と、日本の株式だけに投資する商品は、中身が別物です。
別物どうしを手数料だけで比べても、意味がありません。
何を買うかの考え方は、結局、NISAで何を買えばいいの?にまとめています。
▼
同じ種類の中で、手数料を見る
同じ指数に連動する商品が、複数の運用会社から出ています。
中身がほぼ同じなら、手数料の低いほうが手元に残ります。
さきほどの372万円の差は、このときに生まれます。
▼
実際の成績も、あわせて見る
同じ指数を目指していても、成績が指数から少しずれることがあります。
手数料が同じくらいなら、目指す指数にきちんとついていけているかも手がかりになります。
信託報酬は持っているあいだ毎年ずっとかかるコストです。同じ指数に連動する投資信託でも手数料には差があるため、購入前に各社の目論見書で信託報酬を比較して選びましょう。取扱本数が多く手数料の安いネット証券がおすすめです。
まとめ:小さな差が、ずっと続いて大きくなる
📝 覚えておきたいこと
- ・信託報酬は、持っている間ずっとかかる
- ・値段から毎日引かれるので、払った覚えがない
- ・1%ほどの差が、30年では数百万円になる
- ・上限以下でも、平均の2倍を払うことがある
投資の成績は、自分でどうにかできるものではありません。
でも手数料は、買う前に数字で分かります。
投資のなかで自分で決められる数少ないものだということです。
いまから何かを大きく変える必要はありません。
まずやることは、信託報酬を目論見書で見てみることです。
いま積み立てている商品でも、これから買う商品でもかまいません。
数字を1つ確かめるだけなら、5分もかかりません。
※ いま持っている商品を売って乗り換える場合、NISA以外の口座では、利益に税金がかかります。
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よくある質問
Q. 信託報酬は、いつ自分で払うのですか?
A. 自分で払う場面はありません。投資信託に入れたお金の中から毎日少しずつ引かれ、残ったお金が次の日も運用されていきます。発表される値段(基準価額)は、すでに引いたあとの数字なので、引かれたことは表に出てきません。引き落としの通知も、明細への記載もないので、払っている感覚はまったくありません。年0.34%の投資信託を100万円ぶん持っている場合、1年で3,400円、1日あたり約9円が引かれている計算です。金額が小さく見えますが、持っている間ずっとかかり、投資信託に入れたお金がふえるほど手数料もふえていきます。
Q. 信託報酬が安ければ、それだけで選んで良いのですか?
A. 安いことは大きな手がかりですが、それだけでは決まりません。まず、どこに投資する商品なのかを見てください。全世界の株式に投資する商品と、日本の株式だけに投資する商品は、そもそも中身が別物です。中身が同じ種類のものを並べたときに、はじめて手数料の差が結果に出てきます。また、同じ指数に連動する商品でも、実際の成績が指数からどれだけずれたかという違いもあります。順番としては「どこに投資するか」を決めてから、その中で手数料の安いものを選ぶ形になります。
Q. つみたて投資枠の商品なら、手数料は気にしなくて良いですか?
A. つみたて投資枠の商品は、法律で信託報酬の上限が決められています。日本だけに投資する指定インデックス投資信託は年0.5%以下、海外を含むものは年0.75%以下です(いずれも税抜)。極端に割高なものは、この段階でふるい落とされています。ただし、上限以下であればどれも同じというわけではありません。金融庁の資料では、実際の平均は日本だけのもので0.27%、海外を含むもので0.34%です(2026年7月24日時点)。上限すれすれの商品を選ぶと平均的な商品の2倍以上を払うことになるので、選ぶときは数字を見ておくと確実です。
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